相談:事故による脳損傷、認知症、統合失調症等の傷病によって、
   自分の財産を管理する精神上の能力を失った場合、
   周囲の親族は、どのようにすればよいでしょうか。

回答:世間では、このような場合、
   周囲の親族が本人の財産を事実上管理している場合も見受けられますが、
   法律上は、正当な権限はないことになります。

   加害者がいる事故の場合の損害賠償請求では有効な示談をすることが
   できませんし、財産を管理していない他の親族から
   不信に思われたりすることもあるようです。
   このような問題が生じることを考えると、
   成年後見の申立を行うことが望ましいと考えられます。

   民法第7条は、
   「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、
   家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、・・・(省略)・・・により、
   後見開始の審判をすることができる。」と定めています。

   また、民法第843条第1項は、
   「家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、
   職権で、成年後見人を選任する。」と定めています。
   
   さらに、民法第859条第1項は、
   「後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、
   その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。」と定めています。

   事実上財産を管理していた親族がそのまま
   成年後見人に選任されることもありますが、
   親族間で本人の財産の管理をめぐって対立がある場合には、
   家庭裁判所が、中立の第三者である弁護士等の専門家を
   成年後見人に選任する場合もあります。

   当事務所では、
   このような成年後見の申立書類の作成等のお手伝いをさせていただきます。
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