相談:私は、これまで、自動車に衝突されたことによる傷害の治療を
   受けてきましたが、医師から「そろそろ症状固定です。」と
   言われています。
   衝突した自動車が入っている任意保険会社からは、
   「後遺障害の認定を受けるのであれば、後遺障害診断書の書式を送るので、
   医師に作成してもらい、こちらに送って欲しい。」と
   言われています。
   後遺障害の認定とは、どのようなことでしょうか。
   また、認定に納得できない場合は、どうすればよいのでしょうか。

回答:それ以上傷害の治療を継続しても、医学的効果が期待できない場合、
   このことを「症状固定」といい、また、
   症状が固定したときに残った障害のことを「後遺症」または
   「後遺障害」といいます。

   後遺障害による損害とは、症状固定までの損害である治療費、
   休業損害、入通院慰謝料(傷害慰謝料)等とは別の損害で、
   逸失利益、後遺障害慰謝料等として算定されます。

   後遺障害の等級及び種類は、政令である自動車損害賠償保障法施行令
   (以下、「施行令」といいます。)に、
   障害の程度が最も重い1級から14級まで定められています。

   例えば、
   1 施行令別表第1の第1級第1号は、
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
    常に介護を要するもの」であり、
    労働能力喪失率は100%、
   
   2 施行令別表第2の第10級第11号は、
    「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
    であり、労働能力喪失率は27%、

   といったようにです。

   後遺障害の等級の認定は、保険会社を通じて提出された後遺障害診断書、
   その他、追加で提出を求められることのあるレントゲン写真、
   MRI写真等の検査写真に基づき、損害保険料率算出団体に関する
   法律に基づく法人である損害保険料率算出機構で行われます。

   その後、等級認定の結果及びその理由は、
   保険会社によって、被害者に通知されます。

   等級認定に不服がある場合は、保険会社に対し異議申立を行って、
   損害保険料率算出機構内にある自賠責保険審査会で再審査してもらうか、
   民事訴訟を裁判所に提起する方法しかありません。

   このうち、自賠責保険審査会は、
   審査の公平性・客観性を確保するため、
   日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、
   学識経験者等の外部の専門家が参加しています。

   また、民事訴訟を裁判所に提起する方法では、主治医の意見書や
   裁判所の選任する鑑定人(医師)の鑑定書等を証拠として、
   損害保険料率算出機構が認定した等級よりも上位の等級の
   後遺障害を認定した判決の言い渡しを受け、それが確定
   (控訴等の上訴期間が経過したりすること。)する必要があります。

   後遺障害の等級は、後遺障害による損害である逸失利益や
   後遺障害慰謝料の金額にストレートに影響し、
   影響する金額も大きいことから、
   等級認定に不服がある場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。

   また、弁護士でも、法律と医学が相克する賠償医学が関係することから、
   賠償医学に詳しい弁護士に依頼するとよいでしょう。