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弁護士の小窓

リース契約あれこれ(岩城)

■はじめに

 「リース契約」と聞いて、みなさんが想像される契約とは、
 どのような契約でしょうか。
 「『カーリース』と『レンタカー』は聞いたことがあるけど、違いはよくわからない」
 という人もいらっしゃると思いますが、リース契約は、社会生活上あらゆる場面に
 導入されている重要な取引の一種です。
 レンタルとリースは、似て非なるものです。
 レンタルは典型契約(民法に規定されている契約)、
 リースは非典型契約(民法に規定されていない契約)と言え、
 レンタルは民法上の賃貸借契約と同じ意味ですが、
 リースは「賃貸借契約の一種」であるとか
 「売買と賃貸借の複合契約」であるとか「購入代行」などと考えられています
 (私は「購入代行」と考えるべきだと思っています)。
 ちなみに、借りる期間の長短によって両者を分けているわけではありません。

 レンタル
  ・・・典型契約
     賃貸借
     比較的短期のものが多い

 リース
  ・・・非典型契約
     賃貸借契約の一種?/売買と賃貸借の複合契約?/購入代行?
     比較的長期のものが多い

 リース契約は歴史が浅いゆえに、民法に定められませんでした。
 そのため、契約内容・合意内容によってリース契約が規律され、
 今日の複雑多岐にわたるリース契約が生まれました。
 同時に、リース契約には様々な法的問題も出てきています。

 以下では、リース契約について解説しながら、その問題点を指摘したいと思います。

■リース発展の歴史

 今日、リース契約が複雑多岐にわたる理由は、
 リース契約の発展の歴史に原因があります。
 リース契約について、しばしば引用される名著・宮内義彦
 『リースの知識<第9版>』(日経文庫、2008)14頁以下によると、
 「今日知見されている機械・設備リースの端緒は、前述したように製靴機械の
  賃貸借であると考えられますが、1900年代初期には、ほかの機械製品も
  本格的にリースされるようになりました。…第二次世界大戦後の米国で、
  軍需産業から平和産業への切り替えにともなう旺盛な設備資金をまかなうことが
  求められました。これを満たすパイプとして、生命保険、銀行など機関投資家に
  よる不動産リースが活発に行われ、次いで機械・設備の賃貸を主要業務とする
  専門のリース企業が現れました。鉄道車両、トラックなどの単一物件から、
  しだいにその対象物件の種類は拡大され、ついにはリースの金融的な意味に
  着目したリース会社(USシーリング社=1952年設立)が誕生しました。
  …つまり機械・設備を対象とするリースは、その初期には限られた物件
 (製靴機械・電話機・鉄道車両・自動車・船舶など)を対象として
  産業資本(メーカー)によって行われていましたが、
  やがて1950年頃から、専業リース会社が米国経済の複雑な発展過程の
  中から生まれ、対象物件も各種生産機械・設備、事務用機器にまで拡大され」
 てきました。

 つまり、リース契約は、当初は大型機械などの高価なものから導入され、
 現在ではあらゆる機器に拡大されており、また、リース契約は、
 資金調達の一方法として導入されたということです。


■リース契約の具体例

  リース契約はもともと大型の設備機械などから導入されたものですが、
 より身近なコピー機を例にリース契約がどのような契約かを考えてみましょう。

  例えば、コピー・FAX・プリンター・スキャナの機能の付いたコピー機は、
 グレードにより150〜400万円ほどします。
  通常、このコピー機を購入しようとすると、上記の金額をメーカー(あるいは小売店)に
 全額支払って購入することになります(購入する人を「ユーザー」と呼び、
 メーカーのことを「サプライヤー」と呼ぶことにします)。
 コピー機の例の場合、ユーザーは法人(会社)であることが多いでしょうし、
 サプライヤーはゼロックスやキャノンなどでしょう。

  しかし、この場合、ユーザーはかなりの金額を用意しなければコピー機を購入できません。
 しかもコピー機の場合、業務開始時点から必要になるので、
 これから新規に事業を始めようとする人にとっては、事業によって利益が出てから
 購入するということも考えられません。
 そこで、コピー機を購入するために、分割払いや銀行からの借り入れなどを
 検討することになります。でも、常にクレジットカードによる分割払いや
 銀行からの借り入れができるとは限りません。
 また、クレジットカードや銀行からの借り入れを使えても、使いたくない場合もあるでしょう。

  そこで、コピー機の「購入」ではなく、「リース」が検討される余地が出てきます。
 リース契約は、ユーザーとサプライヤーの間にリース会社が入り、
 リース会社がユーザーの代わりにコピー機を購入し、それをユーザーに貸す
  という構図を取ります。
 リース契約を締結するためには、まず、(1)ユーザーがどのコピー機がよいのか選びます。
 ユーザーはリース会社に対し、そのコピー機をリース物件とする?リース契約の申込をし、
 リース契約を締結します。同時に、(2)リース会社はサプライヤーからコピー機を購入し、
 代金を支払います。(3)サプライヤーはリース会社が購入したコピー機をユーザーに
 納品します。(4)リース会社はコピー機がきちんと納品されたことを確認し、
 (5)ユーザーはリース料をサプライヤーに支払います。

 (5)が必要になるのは、リース会社がユーザーに代わってコピー機を購入するとしても、
 実際に店頭に行ってコピー機を購入するわけではないからです。
 リース会社はあくまでユーザーに代わって購入を代行(お金を出すだけ)
 しているにすぎません。
 (6)の「リース料」は、コピー機の代金にリース料率(手数料)を掛けて、
 それをリース期間で割って算出されます。
 ユーザーは「リース料」を支払い、コピー機を借りるため、リース料を
 レンタル代と同視してしまうケース
が散見されますが、そうではありません。


■中途解約の禁止

 
  リース契約は比較的長期の契約が多く、一般の人が締結するリース契約は、
 リース期間が3〜5年のものが多いのではないでしょうか。
 これに比べレンタル契約は、レンタル期間が数時間〜数週間など
 比較的短期のものが多いと思います。レンタル契約は、通常、事前に
 レンタル期間を定め、期間に応じてレンタル料を支払います。
 レンタル期間が比較的短期なので、自分が必要とする期間だけ
 レンタルすればいいのです。長期間のレンタル契約(不動産賃貸借など)
 では、契約期間満了前に、賃借人が解約を申し出ることが前提となっています。
 つまり、レンタル契約は、契約期間が短いもの中途解約できなくても
 困らないし、契約期間が長いものは中途解約が前提となっているのです。

  これに対し、リース契約では、リース期間が比較的長期にわたるため、
 当初の予想と異なり、途中で目的物が不要になる場合やサプライヤーが
 倒産したりする可能性が十分考えられます。
 このような場合に、リース契約を中途解約できれば問題は起きません。
  しかし、リース契約は中途解約できないのが原則です(ノンキャンセラブル)。
 中途解約を認める場合でも、残リース料の全額を支払わなければ
 なりません(フルペイアウト)。
 ユーザーの側から見ると、中途解約ができても残リース料全額を
 支払わなければならないなら、中途解約が禁止されているのと同じです。
 どうしてリース契約では中途解約が禁止されているのでしょうか。

  リース契約は、前回(第2回)述べたとおり、リース会社がユーザーの
 代わりに目的物を購入し、それをユーザーに貸すという契約です。
 これとユーザーが銀行からお金を借りて、そのお金で目的物を買った
 場合と比較してみましょう。

 【リース契約の場合(5年とする)】
  リース料の支払先:リース会社
  支払リース料  :5年間分(リース目的物の価格+手数料+金利等)
  目的物の借入先 :リース会社
 【銀行借入の場合(5年ローンとする)】
  ローン返済先  :銀行
  返済金額的物の価格+ローン金利
  目的物の購入先 :メーカー・小売店など

  このように比べると、両者はユーザーが資金を出さないという
 点では共通し、融資を受け、目的物を購入するという点に違いが
 あるにすぎません
 (リースの場合、リース契約を締結し、目的物を借りる、となります。)。
  銀行借入をした場合に、何らかの理由で売買契約を解除したとしても、
 銀行への返済は継続しなければなりません。
 リース契約は、この銀行借入+目的物の購入・利用を一括して行う
 ために考案された契約ですから、仮にリース契約が何らかの理由で
 解除されたとしても、銀行への返済とパラレルに考えられるリース料の
 支払いがなくなることはないのです。


■リース目的物は「物」でなければならない

  リース契約は、賃貸借契約とは似て非なるものです。リース料金と
 レンタル料金は異なります。レンタル料金は、実際に借りた分だけ
 支払えばよいのですが、リース料金は、どちらかというと
 「(リース物件についての)代金の分割払い」に近い性質を持っており、
 たとえリース期間の途中で目的物を返却したり、目的物が消滅したりしても、
 リース料金の支払いが継続します(フルペイアウト)。
 このように、リース期間分について必ず料金を支払わなければならないところは、
 リースと賃貸借が異なるところです。
 
  一方、契約の目的物が「物」でなければならない点は、賃貸借契約も
 リース契約も同じです。たとえば、車やパソコンなどは「物」ですが、
 ホームページの作成やエステの施術などは「役務の提供」であって
 「物」ではありません。

  賃貸借契約の目的物は、伝統的に、「物」でなければならないと
 考えられてきました。役務の提供は「物」ではないため、賃貸借契約の
 目的物になりえないのです。
 リース契約は、リース会社がリース目的物を買ってそれをユーザーに貸す
 契約のことですから、契約の目的物は「物」でなければなりません。

  また、実際上もリース物件の目的物が「物」でないと、様々な
 不都合が出てきます。たとえば、ホームページの作成をリース契約の
 目的物とした場合を考えましょう。
 この場合、ユーザーはサプライヤーにホームページを作ってもらうことが
 目的となります(役務の提供)。
 しかし、ホームページが完成しないこともあります。作ってもらった
 ホームページが気に入らず何度もやり直しをする場合や、サプライヤーが
 倒産した場合などがそうです。このような場合でも、ホームページの作成契約が
 リース契約だった場合には、たとえホームページが完成しなくても、
 リース契約のフルペイアウトという性質から、
 リース代金を全額支払わなければなりません。
 
  ホームページの作成そのものは、民法上は「請負契約」なので、
 民法の原則からすると、ホームページが完成するまでは代金を支払う
 必要がありません。他方、リース契約の場合は、ホームページの完成の有無に
 かかわらず、代金の全額支払義務が生じてしまいます。
 リース契約の目的物が「物」だった場合は、このような不都合は(一応)生じません。
 「物」であるため、仮にサプライヤーが倒産しても、
 「物」そのものはユーザーの手元に残るからです。


■リース契約は消費者にとって不利なことばかり

  これまで、リース契約は、
 1 解約できない
 2 解約できたとしても残リース料を支払わなければならない
 という点で消費者にとって不利であることを説明してきました。
 しかし、消費者にとってリース契約が不利なのは、これらの点だけにとどまりません。

 
  リース契約は、レンタル契約と似て非なるものです。
 ですから、リース料とレンタル料も全く同じではありません。
 レンタル料は、レンタルする期間に応じた金額ですが、リース料は、
 リース物件の購入価格、金利、保険料、リース会社が支払う税金、管理事務費など
 が合計され、それをリース期間で割った金額になっています。
 しかし、これらのリース料の算定方法を知っている人はほとんどいないでしょうし、
 リース会社もリース料の算定方法について説明することはまずありません。
 というのも、リース料の算定方法を説明すればするほど、リース料が、
 分割払いや銀行の借り入れやクレジット契約に比べて、消費者にとって
 格段に不利であることが明らかになるからです。

  リース契約が誕生した当初と比べ、現在のリース契約は、
 一般の消費者を対象にした「提携リース」と呼ばれる契約が
 多数締結されています。
 みなさんが目にする「リース契約」はこの提携リースがほとんどです。
 しかし、リース契約は、これまで見てきたように、解約できないこと、
 解約しても残リース料を全額支払わなければならないことに加えて、
 そのリース料の設定も、他の支払い方法に比べて、仕組みが
 ブラックボックス化(知らないし説明も受けない)しており消費者にとって
 不利であるなど、デメリットばかりが目立ちます。

  リース契約を締結する際には、これらのデメリットをよく考えてからに
 した方がよいでしょう。

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