交通事故、離婚、相続、消費者被害などの民事から刑事事件まで、法律に関するご相談なら名古屋・丸の内のアール・イー綜合法律事務所

検索
【Re:あなたのお悩み】お客様のお悩みを真摯に受け止めお応えする、アール・イーはそんな法律事務所です。

弁護士の小窓

サクラサイト被害(岩城)

■サクラサイトとは

 「サクラサイト」とは、国民生活センターによれば、
 サイト業者に雇われた「サクラ」が
 異性、芸能人、社長、弁護士、占い師などのキャラクターに
 なりすまして、消費者のさまざまな気持ちを利用し、
 サイトに誘導し、メール交換等の有料サービスを利用させ、
 その度に支払いを続けさせるサイトを言います。
(http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/sakurasite.html)
 
 このような「サクラサイト」でお金を 支払ってしまったと
 いう相談がなかなか減りません。

 サクラサイト被害は、かつて「出会い系サイト被害」と呼んでいました。
 愛知県では、平成22年に出会い系サイト被害救済のための
 弁護団を結成し、被害救済にあたってきました。
 出会い系サイトの歴史(?)は意外に古く、
 インターネットの普及期に登場したようです。
 当時は、パソコンからアクセスする無料のサイトで、
 利用者はチャットなどで気に入った相手と関係を深める
 というもので、
 現在のような「被害」は見られませんでした。

 平成11年ころから、
 携帯電話によるインターネット利用が可能になり、
 出会い系サイトの利用者も出会い系サイトの数も急増しました。
 これに伴い、「面識のない異性が出会う」ことから生ずる
 様々な問題が露見しました(闇サイト殺人事件など)。

 一方、「面識のない異性が出会う」ことから生ずる問題とは別に、
 サイト利用者が、サイト運営者側のサクラにより、
 延々と有料のメッセージのやりとりをさせられたのに
 「出会えない」という問題も生じました。

 これら「出会えない」ことから生ずる出会い系サイトの詐欺的側面は、
 平成17年ころから報告されるようになりました。
 出会い系サイトは、運営者側(サイト運営業者やシステム業者)
 が作成・管理するいわば「ブラックボックス」ともいうべき
 サイト内でやりとりをします。

 投資詐欺や振り込め詐欺と同じように、
 出会い系サイト被害も、
 多数の人物(サクラ)が登場する組織的詐欺と同じである上、
 利用者はそもそも業者が用意した「出会い系サイト」の中に
 自ら入ってしまっているものですから、
 業者の思うがままに操られてしまうこともあります。

 また、上記のように自ら進んでサイトに登録する利用者は、
 サイト運営者に対して法的責任を問う程の
 被害者意識を持ちづらいことなどから、
 利用者が被害申告に至らないケースも多数あったと考えられます。
 
 このように、
 (1)簡単に騙せる
 (2)騙されていることに気づきにくい
 (3)騙されたことに気づいても被害申告しない
 (4)被害申告されても証拠がすべて業者側にある
 という状態であったため、
 出会い系サイトは、サイト運営業者が莫大な収益を得るための、
 いわば「優れたシステム」として発達・急増し、
 勧誘方法、サクラの手口がますます悪質化・巧妙化しました。

 出会い系サイトは、「異性と出会う」ことを目的とする
 サイトばかりではなく、占いサイトや懸賞サイトなど、
 様々な名目でサイトに誘導するようになりました。
 そのほとんどが、冒頭で述べたとおり、
 「サクラ」を用いてメール交換等のサービスを利用させて
 いることから、私たちは
 平成24年から「出会い系サイト被害」のことを
 「サクラサイト被害」と呼称するようにしました。

 サクラサイトの詐欺的側面は、
 徐々に社会に理解されるようになり、
 サイト運営業者の代表者やサクラのアルバイト10数名に
 実刑判決が下された事案もあります
 (東京地方裁判所平成24年6月29日判決等)。

                         (2014.8.7)

■サクラサイトにのめりこむ理由

 ケータイやパソコンが必ず受信してしまう迷惑メール。
 その中にサクラサイトに誘導するためのメールが多く見られます。
 
 「こういうサイトは『サクラ』がメールを作っているに決まっている」
 「こういうのに騙される人っているの?」
 と思われる方も多数いらっしゃると思います。
 しかし、被害者の方も、被害に遭うまではそのように考えていました。
 騙されている最中は、冷静になって自分の行動を振り返ることができません。

 なぜでしょうか。

 サクラサイトは、ポイント料という「お金」を費消してしまうところに、
 その理由が隠されています。
 
 人が意思決定をして行動する際には、様々なバイアス(※)がかかります。
 サクラサイトからの勧誘メールがおもしろかったので、
 「試しにメールを送ってみよう」と軽い気持ちで利用したところ、
 サクラの送ってくるメールの内容が「ひょっとすると本当かもしれない」と
 思い始め、何度かメールを送り、気づいたら50万円を
 使ってしまったという人の例を考えてみましょう。

 その人は、当初は半信半疑でしたし、お金を支払ってしまった現在も、
 サクラかもしれないとの疑いは持っています。
 しかし、サイトの中で出会った「ミユ」さんや「ケンジ」さんは、
 「あなたがいなくなると、これまで一緒にメールしていたみんなが悲しむわ」
 「私もポイントを買っているの」
 「もう少し続けたら『ミレイ』さんがサイトと話をつけてくれるはず」
 「そうするとみんなのポイント料が戻ってくる」
 「今までも続けてくれたじゃない」
 などとメールを送ってきました。

 こういった内容のメールを受け取ってしまうと、
 (1)これまで自分が50万円のポイント料を
    支払ってきたという行動と矛盾しないように行動する
    「現状維持のバイアス」
 (2)この時点で止めてしまうと、その行動によって
    これまでのポイント料購入という投資の損が確定してしまう。
    そうならないように行動する
    「損切りを避けるバイアス」
 (3)既に50万円を費消しているため、これから費消する
    少量のポイント料の投資は、より喪失感が少ないという
    「感応性逓減バイアス」
 (4)失うポイント料よりも得られる(かもしれない)ポイント料の
    払い戻しに価値を置く
    「損よりも得を高く見積もる評価バイアス」
 などのバイアスがかかり、
 また、上記の例では自分が止めると他の人に
 迷惑がかかるかもしれないという「感情」や、
 ここまで来ると、メールの相手がサクラであっては
 (ポイント料が返ってこないので)困るという「願望」も加わり、
 冷静に考えるとポイント料が戻ってくることなどありえないのですが、
 ポイント料購入という行動を止めないという結果になってしまうのです。

 これらのバイアスのかかった消費者の行動は、
 投資被害にも見られますが、特にサクラサイト事案では
 このバイアスが強く出てしまうのではないかと思います。

 ※ここで言う「バイアス」とは、
  行動経済学上のバイアスのことであり、
  直訳すると「性向」「傾向」という意味です。

                         (2014.10.14)

■サクラサイト事案で用いられる決済手法

 多くのサクラサイトでは、
 サイト内のメッセージの送受信に「ポイント」が必要です。
 1送受信に40〜60ポイントほど必要であることが多く、
 1ポイントが10円です。
 サクラサイトは、この「ポイント」を購入させ、
 サイト内でメッセージを送受信させるよう、
 利用者に様々な内容のメッセージを送信してきます。

 サクラサイトは、「ポイント」の購入に使われる
 決済手段を複数用意しています。
 銀行口座に現金を振り込む方法、クレジットカードで決済する方法、
 コンビニの電子マネーで決済する方法、
 コンビニの収納代行で決済する方法等です。
 利用者(被害者)は、これらの決済方法にて利用料を支払わされています。

 サクラサイト被害が急増したのは、
 多様な決済手段が用意されていることと無関係ではありません。
 サクラサイトは、インターネットを通じた詐欺商法です。

 その被害は時間や場所に関係なく、全国どこででも、何時でも生じます。
 また、(騙されている)利用者は、
 (サイト内ですぐにメッセージを送れるように)購入したポイントが
 直ちにサイト内で反映される方が便利です
 (これは騙す側のサイト業者にとっても、違法な収益を24時間
 稼ぐことができるので有利です)。
 したがって、サクラサイト業者は、決済したことがすぐに反映される
 クレジットカードや電子マネーを利用できるように準備しているのです。

■クレジットカードの決済の仕組み

 経産省の調査によると、クレジットカードは、現在3億枚以上が流通しており、
 社会に溢れていると言っても過言ではありません。
 しかし、その決済の効果は、非常に複雑な経緯をたどります。

 クレジットカード取引は、元々は、
 カード会社、加盟店、利用者
 の三者間の契約関係だったのですが(「オンアス取引」と言います)、
 現在は、国際ブランド(VISAやMaster Cardなど)を通じて、
 加盟店、アクワイアラー(加盟店側カード会社)、
 国際ブランド、イシュアー(利用者側カード会社)、利用者、
 という5者間の契約関係がほとんどです
 (「ノンオンアス取引」と言います)。

 みなさんがクレジットカードで決済する場面を思い起こしてください。
 カードを発行した会社の店舗でクレジットカードを利用することは多くなく、
 VISAやMaster Cardの加盟店になっているお店で、
 VISAやMaster Cardのクレジットカードを利用して
 決済しているのではないでしょうか。

 この場合、クレジットカードを利用すると、
 法的にはこれら5者間で債権譲渡が行われるか立替払が
 行われているという関係になります。
 しかし、この点を緻密に分析している文献は少なく、
 現在の割賦販売法も、日常多く利用されているノンオンアス取引ではなく、
 オンアス取引が前提で規定されています。

 さて、サクラサイト業者は、クレジットカードの加盟店審査に通らないため、
 そのままではクレジットカード決済を利用することができません
 (割賦販売法はカード会社に加盟店審査を行うよう規制しています)。

 そこで「決済代行業者」を挟み、
 クレジットカードを利用できるようにしています。
 決済代行業者とは、まさに「決済」を「代行」するための会社で、
 「包括加盟店」として、複数の販売業者等を取り次ぐ形で
 アクワイアラーとの間で加盟店契約を締結する事業者です。

 決済代行業者が介在すると、
 直接では加盟店になれなかったサクラサイト業者が、
 結果的に、クレジットカード決済を利用できるようになってしまいます。
 クレジットカード取引にサクラサイト業者が参入できるようになったことが、
 サクラサイト被害を増大させた要因の一つと言えるでしょう。

                         (2014.11.17)

■クレジットカードの決済の仕組み2

 具体的に次のような取引を考えてみましょう。

 私は、東海道新幹線をよく利用します。
 利用時は毎回、EX-IC(モバイルスイカ)を使います。
 EX-ICはエクスプレスカードというクレジットカード(発行会社は
 株式会社セディナ)と一体になっているカードです
 (下図のカード。JR東海のHPより)。

画像(320x64)・拡大画像(545x109)

 
 私がエクスプレスカードを用いて新幹線に乗車すると、
 利用者=私、加盟店=JR東海、カード会社=株式会社セディナ、
 との間で決済が行われます。
 これが、オンアス取引です。
 利用者、加盟店、カード会社の三者間で取引が行われるからです。

 しかし、このエクスプレスカードは、VISAやMaster Cardなどの
 国際ブランドが付帯しており、エクスプレスカードを用いて、
 JR東海以外のその他のお店で買い物をすることもできます。
 例えば、私がこのカードを用いて楽天市場で買い物をした場合、
 利用者=私、
 顧客側カード会社(イシュアー)=株式会社セディナ、
 国際ブランド=VISAやMaster Card、
 加盟店側カード会社(アクワイアラー)=不明、
 加盟店=楽天市場のお店、
 という5者間の契約となります(下図参照)。
 これがノンオンアス取引です。

画像(320x173)・拡大画像(620x336)

 オンアス取引は、ノンオンアス取引におけるイシュアーと
 アクワイアラーが同じ会社の取引だということが分かります。
 オンアス取引では、国際ブランドを経由する必要がありません。
 国際ブランドは、国際ブランドを経由する決済の場合に手数料を
 徴収していると言われており、カードを利用すると値段が高くなる
 (もしくは割引が受けられない)お店があるのは、
 この手数料分を価格に転嫁しているからだと考えられます。

                         (2014.12.16)

■現金以外の決済手段に規制が必要な理由

 サクラサイト事件では、多様な決済手段が用意されていることが、
 被害を拡大させている一因です。
 もっとも、多様な決済手段そのものは、
 消費者にとって有益であり、生活を豊かにしてくれるものです。
 
 例えば、ここ数年で爆発的に決済件数が伸びた電子マネーを考えてみましょう。

 Suicaの発行枚数は4000万枚を超えており、
 首都圏では「切符を買って」電車に乗る人はむしろ少数派です。
 なぜ利用者が増えたのでしょうか。
 それは、Suicaが便利だからです。
 「現金を出さなくてもよい」という手軽さや、
 「券売機に並ばなくてもよい」という時間短縮の効果が、
 消費者に受け入れられているのです。

 クレジットカードはどうでしょうか。
 こちらは手元に現金がなくても決済ができるところに利便性があります。
 
 その他に、宅配便の収納代行、コンビニ収納代行、
 インターネットでパスワードを入力する方式の電子マネーなどが、
 2者間の現金以外の決済方法として使用されています。

 このように、多様な決済手段は、現金という「物」を持ち出すことの
 不便さを解消するために考案されたものなのです。

 しかし、こうした決済手段は、あくまで民間企業が考案したものであり、
 国が発行・管理している「現金(通貨)」とはまるで異質なものです。
 そのため、これらの決済方法は
 「資金決済に関する法律(資金決済法)」によって発行要件を定め、
 発行企業に登録を要求するなどの規制が行われています。

 また、現金以外の決済手段は、一度トラブルが生ずると
 現金で決済する場合よりも複雑な紛争処理が必要となります。
 売買契約において現金を使用して決済した場合は、
 契約当事者は売主と買主という2者しかいませんが、
 現金以外の決済手段を使用すれば、
 資金の流れは当該発行体を経由するため、
 契約当事者が3者以上となります。
 クレジットカード取引で決済代行会社が使用されていれば、
 契約当事者は6者となる場合もあります。

 契約当事者が増えれば増えるほど、
 消費者にとっては資金の流れがつかみにくくなり、
 かつ、それぞれの当事者と関係が希薄になっていきます。
 トラブルの相手方がどこにいるのかも、わからない場合があります。

 悪質業者は、この点を悪用し、
 現金以外の決済手段を敢えて使用している場合があります。

 現在、クレジットカードを規制している「割賦販売法」は、
 規制強化の改正作業を行っています。
 しかし、「資金決済法」については、現行の割賦販売法よりも規制が緩く、
 決済手段の悪用を防止できているとは言えません。

 サクラサイト事件のような悪質商法を撲滅するためには、
 こういった新たな決済手段の悪用を防ぐような
 強い規制が必要と思われます。
                         (2015.2.13)

ページのトップへ ページのトップへ

TOPICS

アール・イー綜合法律事務所

〒460-0002
名古屋市中区丸の内
2丁目14番20号
ザ・スクエア7階S7
TEL:052-223-1777
FAX:052-223-1776

powered by a-blog
コピーライト